カサンドラさんによく浴びせられる言葉の中に「結婚する前に相手の発達障害はわからなかったの?」という言葉があります。
その答えに関しては…現在のアラフォー世代ぐらいだと、わからなかったのではないでしょうか?
そもそも「発達障害」というものが知れわたってきたのは(あくまで私の感覚ですが)ここ5年くらいなのではないかと思います。
ざっくりと考えると今から10年以上前に結婚している方、というのは「発達障害」についての認識を持っていなかった人が多いと推測されます。
この数年で結婚した人に関しても・・・いわゆる「外モード」「内モード」がある、という事を認識していない限り「発達障害」という性質を認識することは非常に困難だったのではないでしょうか?
社会人になると、自分が困ったことなどは調べて勉強することはありますが、なにもなければ改めて勉強しようとは思いませんよね。
自分の周りに「発達障害を持つ人」がいて、困った経験がなければ「発達障害」という言葉は知っていても、どんな風なのか・・・実際出会って一緒に過ごしたときにどういうことが起きるかなんていうのはわからないものですよね。
私の体験から「結婚する前にわからなかったの?」という質問にどう答えるかな?ということを考えてみました。
結論から言いますと、わからなかっただろうなと思うのです。
振り返ってみますと、今思えば・・・あれはASDの「擬態」だっただろうし、あの時は「愛する気持ち」があったから大目にみてあげられたということになります。
でも、よく観察していると「違和感」というカタチで危険信号がいくつも灯っていたということは感じるんです。
私の場合は「出来ちゃった婚」(といっても、その時点で結婚に関して合意はできていました。)ですから、結婚の流れを「止められなかった」という前提があることを含みおいてほしいです。
今再び、あの頃に戻り同じ体験をしたタイミングで、子供が出来ていなければ…わたしはひょっとすると今の夫との結婚はしなかった可能性はあるんじゃないかな?と感じます。
元々私と夫は同じ職場で10歳年齢が離れています。(夫が年上)
500人弱の会社でしたが30代後半の夫については「なんであの人結婚していないの?でも独身だしお金は貯めてそうだよね~」なんて噂されていました。
私からすると最初に言葉を交わした時も「なんだ、この人…営業所のNo.2の割には話の返しが変だし、話してもつまらない男だな」くらいに思っていました(傲慢でお恥ずかしいですが)
その後、夫が本社勤務になり、同じ部署になりましたが、担当が異なっていたため仕事上の接点はなく「ご挨拶」するレベル。
正直、私の夫は見かけも「全く私の好みに合わないタイプ」でしたし、日頃の発言等から「足を引っ張られそうで、魅力も感じない」という認識だったのです。
それがたまたま、魔が差した・・・といった感じで私が30歳で付き合い始めて、彼はすでに40歳という感じでした。
お付き合いそのものはとても順調でした。
最近知ったことではありますが彼は元々私のことを気に入っていたようで、付き合っていた頃はとても私のことを尊重してくれているように感じていました。
夫は40歳を過ぎ、結婚願望はとても強かったのですが、過去に結婚しようと思っていた女性が姿を消してしまった・・・という事があったようでして、たぶん私に対してはとても注意深く付き合っていたのだと思うんです。
ASDの受動型と思われる夫は、とても穏やかでしたし、私に合わせてくれていたのでしょう。
この時には「ちょっと物足りないけど、穏やかで誠実な男性」というような認識でした。
その後少し違和感を感じた事件がありました。
付き合いだした頃、私は当時の会社で社員代表として経営者と給与や賞与の交渉したり、社員の声を届けることをさせていただいていました。
その年度切替で社員代表の信任投票のが行われたのですが・・・私のいる部署の投票用紙に1つだけ、不信任票があったんです。
給与交渉も賞与交渉も上手く運んでいて、当時創立最高額の賞与をもたらすこともできていたのに「不信任」とそばにいる仲間に否定されたことにショックを受けたのですが、すぐに「あ、この不信任票は彼だな・・・」とピンときたのです。
そして二人で会ったときに、鎌をかけてみたのですが、やはりその票を投じたのは彼(今の夫)だったんです。
理由は「一緒に居られる時間が少なくなるから」と返ってきました。
その時に「子どもだな~」と思ったと同時に、「私が会社で目立っていることに嫉妬しているのかな?」と感じていました。
夫のことを「子ども」とも思ったし「狭量な人」とも感じていたのですが、その頃は「彼が好き」だから私が受け入れてあげよう・・・なんて気持ちでいたのです。
もう一つ結婚前に感じた「違和感」についてです。
当時の勤め先は社内恋愛が多い会社であったのですが「先々結婚しよう」と意思を確認し合った頃、夫は私に相談もなく、私と付き合っていて結婚を考えているという話を当時の私の上司に話してしまいました。
まだ、正式に決めたのではなく、ゆくゆくは・・・という話だったのに、たまたま出張で私の上司とお酒を飲んだ席で伝えてしまいました。
私自身はその会社をやめずにそのまま仕事を続けたい気持ちが強く、仕事に意欲的に取り組んでいたので、きちんと上司にも私からお伝えしたかったのです。
相談もなしに、信頼関係を築けていた上司に勝手に言われてしまったので、私は怒りをぶつけました。
そして結局その事実が会社中に知られることになり、次は会社を辞める、辞めないで会社の役員までもが口を出してくる結果を招くことになりました。
私は退職したくない、夫は退職させたい。
それで折り合いがついていなかった時の話ですが、役員たちがやっと結婚をできそうな夫を祝うという名目で飲み会をしてくれたその席で、副社長から私に電話が入りました。
「あなたに会社を辞めてほしいわけではないが、家族の幸せを思うとやはり家庭に入った方が僕はいいと思うよ。」と伝えられたのです。
辞めてもらいたい夫からしたら、いい援護射撃ですよね。
でもそのことでついに私は怒り、夫を拒絶する事態までになりました。
一生勤め続けたいと思って入社試験に合格し、会社に貢献したくて社員代表にまでなって、さらに抱えている仕事でも小さくても成果を出すべく頑張って仕事をしていました。
そしてゆくゆくは結婚するとしても、仕事はずっと続けたいし面白い仕事をさせてもらっているから今の会社を辞めたくないと伝えていたのです。
夫は私のことを思いやるのではなく、自分のしたいようにして私を追い詰める相手としか思えなくなったのです。
もう本当に怒りが湧いて夫には「もう連絡してこないで!」と伝えて接触を断ちました。
たぶんその時点で妊娠をしていなければ、私はあの時夫に別れを告げたと思います。
お腹に子供が居るから、ここは私が大きく受け入れてあげるしかないんだ・・・と思って、結局はそんな夫を許すことにしたのです。
そんなことを自分の中で消化して、結局は会社を私が辞めることにして、なりたくなかった専業主婦になることを選択しました。
今改めてこれを書いていると「子どもが居たから、幸せな家族でいられるように夫と結婚することにしたんだな」と気づきます。
あの時は別の選択や別の可能性を想像する時間も無かったですし、知恵も無かったのだと思います。
そしてもちろん愛もあったので、私が受け入れてあげればいいんだ・・・と思っていました。
やはり恋をしている時には、何かしらのホルモンなどがでていて「私はこの人を深く愛しているから、困難を乗り越えられる」と思えてしまうモノなのかもしれませんね。
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